|
寺井・鈴木研究室寺井教授、鈴木准教授、佐々木特任助教工学系研究科 附属総合研究機構 原子力国際専攻 原子力専攻
燃料電池の開発固体酸化物形燃料電池の開発
寺井・鈴木研究室では、原子力発電により得た電気を用いて製
造した水素をエネルギーキャリアとする水素エネルギーシステムの確
立により化石燃料消費量を低減してエネルギーセキュリティを向上さ
せる立場で燃料電池の研究を進めている。
SOFCの低温作動化
SOFCは燃料電池の中で最もエネルギー変換効率が高く、集合
住宅や戸建て住宅などに用いられる電気・熱コージェネレーションシ
ステムの材料コスト低減による実用化推進に向け、運転温度低減
が望まれている。しかし、SOFCは、運転温度を低減するとエネル
ギー変換効率が低下する。その主たる原因は、空気極電極にお
ける反応抵抗増大と電解質膜におけるイオン伝導抵抗の増大であ
る。そこで、高エネルギー変換効率を維持しながら、周辺部材に安
価なステンレス鋼の使用が可能となる500℃までSOFCの運転温度
を低減するため、新規空気極材料の開発や新規電解質膜作製方
法の研究を行っている。
(1)新規空気極材料
低温運転時の空気極の反応抵抗を低減させるため、銀電極を
研究している。従来の空気極電極では、図1左側の図中の青丸で
示す電解質と空気極、酸素の三相界面が、主たる電極反応が生
ずる場(酸化物イオンの潜り込む場所)である。この三相界面の面
積が広いほど、反応抵抗が小さい優れた電極となる。しかしこの三
相界面は、電解質と空気極が接している線近傍に限定されている。
これに対し、銀は酸素原子と電子の良導体であるため、銀電極では
電極と電解質が接触している面全体(二相界面)に酸化物イオンの
潜り込み場が増大する(図1右側)。これに加えて、銀には、500℃付
近で高い触媒
活性を有する
利点もある。
したがって、
銀は優れた空
気極電極の材
料となる高い
可能性がある。
(2)新規電解質膜作製方法
低温作動時の電解質の抵抗を低減させるために、500℃でも
高い酸化物イオン導電率を持つ電解質であるLSGM(La0.9Sr0.1
Ga0.8Mg0.2O3-δ)の薄膜作製法を研究している。低温で緻密膜の作
製が可能な、RF
マグネトロンスパ
ッタリング法を用
いて薄膜電解質
を作製している。
CEE Newsletter No.4(2009.4) 掲載内容
|
|||
Copyright(c) Collaborative Research Center for Energy Engineering(CEE), The University of Tokyo |