東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

大岡研究室

大岡龍三教授
生産技術研究所 人間・社会系部門

建築・土木とエネルギー・環境に関する研究

大岡研究室では、これまでサステナブルな都市環境形成に対し て総括的に取り組んできた。サステナブルな都市環境形成のため には、地球環境に配慮しつつ、人々が安全・安心・快適に生活で きる場を形成していく必要がある。そのために、都市における.環 境問題、.エネルギー・資源問題、.安全問題について検討して いる。具体的な研究内容を以下に示す。

研究テーマ: 都市の大気環境に関する研究

風洞実験とコンピュータシミュレーションを利用した大気環境の解 析を研究テーマとしている。計算流体力学(CFD)と放射計算を連 成した数値解析法の構築より、微(ミクロ)気象と呼ばれる建物周 辺の熱環境・大気環境の解析を可能としている。さらに都市活動 が数百キロメートルの地域(メソ)気象に及ぼす影響について解析 すべくメソ気象モデルに都市キャノピーモデルを組み込む等の開発 を行っている。これらの解析ツールを利用してヒートアイランドや大気 汚染など都市の大気環境の予測と制御法についての研究を行っ ている。

研究テーマ: 建築・都市の省エネルギー技術に関する研究

自然エネルギーを利用した省エネルギー技術の一つとして特に 地中熱利用技術の開発を行ってきた。このテーマは建物の基礎杭 を利用して土壌と熱交換をするもので、従来コスト的に不可能であ ると言われた地中熱利用技術を商業ベースに乗せることに成功し た。この技術は、東大柏キャンパス、東京スカイツリー等の多くの物 件に導入されている。図1、2また遺伝的アルゴリズム等の最適設計手法 を用いて、建築・都市のエネルギーシステムを、その機器選定導入、 運用計画を最適な形式で構築する手法についても積極的に開発 を進めている。


研究テーマ: 都市火災伝播シミュレーションに関する研究

巨大地震発生時等に大規模同時火災が併発する危険性が指 摘されている。火災伝播は主として放射、対流、火の粉飛散によっ て行われる。当研究室では、これらの物理プロセスをすべて連成し た火災の伝播シミュレーションモデルの開発を行っている。このモデ ルは、大規模火災時の延焼予測ならびに消火活動・避難誘導指 針の策定に利用される。
CEE Newsletter No.7(2010.4) 掲載内容