東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

坂本研究室

坂本慎一准教授
生産技術研究所 先進モビリティー研究センター

交通関連の研究

我々は日々、様々な音に囲まれて生活している。音声や言語は 情報伝達や思考のために不可欠であり、音楽は文化的な生活を 営むために有意義である一方、図1都市域において道路・鉄道などの交通音や建設工事に伴う音は騒音として制御の対象となる。坂本 研究室では、我々をとりまく様々な音について、快適性、安全性を キーワードに、主に建築・都市環境工学の視点から研究を進めて いる。本研究室の研究テーマの例を以下に示す。


(1)音場計測・音場再生・音場解析技術の開発

建築・都市の音環境を分析し、予測・制御技術の開発へとつ なげてゆくための最も基盤的な技術が音場計測、音場再生、音 場予測の各技術である。当研究室では、各種信号処理技術、数 値解析技術を援用しながら、これらの技術開発を進めている。
・場の暗騒音に応じたSwept-sine信号の最適化
・3次元音場シミュレーションのための6チャンネル収音再生システム
・FDTD法による音場解析手法の開発と応用

(2)都市環境騒音の予測と制御

静穏で快適な都市環境を実現するためには、騒音の発生と伝 搬を正確に把握しなければならない。そのため、環境騒音の予測 法の確立は重要な研究課題である。当研究室では、影響が広範 囲にわたる道路交通騒音、鉄道騒音に重点を置き、騒音の伝搬 予測手法に関する研究に取り組んでいる。
・エネルギーベース騒音予測法
 ( ASJ RTN-Model, ASJ CN-Model)
・波動数値解析を援用した騒音伝搬予測

(3)室内音響伝達特性の評価

室内における安全性や快適性にとって、音環境は主要な環境 要素である。室内の音響特性を適切に保つためには,エコーなど の音響障害を防止し、室の用途に合わせた残響特性を実現する ことが必要である。図2坂本研究室では、ホール、劇場、公共空間等 の大空間から居室、車室等の小規模空間まで、様々な用途の空間 を対象として予測手法の開発および主観評価実験を行っている。

CEE Newsletter No.8(2010.10) 掲載内容