東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

大和研究室

大和裕幸教授
大学院新領域化学研究科・先進モビリティ研究センター

交通関連の研究

設計・生産・運用など産業を行うための計算機やネットワーク、 生産システムなどが産業環境であり、これらを効率的に設定、運 用するための学問が産業環境学である。人間やグループの知識 を計算機や情報通信ネットワークを利用して効率的に運用すること が主要な課題である。
 船舶や航空機など巨大なシステムや医療など専門性の高いチ ームでは、様々な場面で協調的な作業が行われる。これを効率よ く実施するため、人間を含めた全体システムを理解し、また支援す る環境を提案する必要がある。 ビデオ、音声、シミュレータのログと いったデータをデータベース化し、対話分析によって分析するシス テムCORASを開発し、大型船舶のブリッジにおける協調作業に 適用している。図1また、業務プロセスにより電子データを管理することで協調的な作業を支援する基盤ソフトウエアShareFastの開発・ 公開を行い、特に製造業における設計支援や知識伝承、また医 療におけるプロセス記述を行っている。


これら知識システムの検討を続けるが、製品表現に偏るCADシ ステムの見直しを行い、CADの基本機能にこれまでの成果を盛り 込むことを今後検討していきたい。 新領域創成科学研究科は現代の問題を解決する新しいシステ ムの創出を行うことも使命である。新しいシステムの創出手法とし て、物流システムの最適化手法とそこで利用される船舶などの交 通用具の設計手法について研究を続けてきた。 特に時間指定が出来るオンデマンドバスシステムの開発に注力 している。現在各地で立証実験を展開中である。個人の要望に 的確に対応する公共交通機関を構築することで利便性を 高め、 図2、写真1高齢者にも利用でき、自家用車の利用を抑制することで二酸化炭 素排出量も削減する。また病院やショッピングセンターなどと連携した 交通サービスとして将来の豊かなモビリティ社会の中核となり得る。

CEE Newsletter No.8(2010.10) 掲載内容