東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

加藤研究室

加藤泰浩准教授、藤永公一郎特任研究員、原口悟特任研究員、町田嗣樹客員研究員
工学系研究科システム創成学専攻

資源関連の研究


(1)レアメタル・レアアース資源の成因の解明と探査指針の提示

図1 日本の最先端産業を支えているレアメタルやレアアース資源がどのように生成し濃集したのか、そのメカニズムを解明する研究を行っている。こうした有用金属資源は、地球表層の物質循環により生成されているので、資源の成因の解明は地球の物質循環を解明することにつながる。特に次世代のフロンティア資源として、海底鉱物資源を重点的に研究している。レアメタルやレアアースを豊富に含有した海底資源の探査指針を提示し、最終的に有望海域を選定することを目指している。


(2)沈み込み帯における地殻流体の実態解明と鉱床成因との関連

複数のプレートがせめぎ合う日本列島では、太平洋プレートやフィリピン海プレートに由来する地殻流体が、地震や火山活動などの様々な地球現象に深く関わっていることが明らかになりつつある。かつて日本には数多くの金、銀、銅、鉛、亜鉛などの鉱脈鉱床が存在し、日本の近代化に大きく貢献してきた。これらの鉱脈鉱床の成因を地殻流体という観点から再検討し、菱刈金鉱床のような経済価値の高い鉱床を発見することを目指している。

(3)地球温暖化メカニズムの解明と対策

過去の地球環境変動を復元することにより、現在の地球温暖化のメカニズムを解明する研究を行っている。特に大気−海洋系の二酸化炭素濃度の上昇に対して、固体地球がどのように応答しているのか、つまり地球が本来どのような自律システムを機能させて大気−海洋系の二酸化炭素濃度をコントロールしているのかを明らかにする。さらに、玄武岩の熱水変質作用を利用して、二酸化炭素を炭酸塩鉱物として固定させる研究を行っている。
CEE Newsletter No.9(2011.3) 掲載内容