東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

宮本研究室

宮本英昭准教授
東京大学総合研究博物館

資源関連の研究

惑星探査技術の進歩により、太陽系の天体に探査機を送り 込んで調査することが可能となった。火星探査車は砂だらけの 火星表面を走り回り、小惑星探査機は、弾丸を使って岩石を 破砕し岩石サンプルを収集した。人類は、こうした太陽系の直 接探査を通じて地球外の天体に関する情報を猛烈な勢いで 獲得している。
図太陽系科学は、革命的な発展を遂げていると言って良い。 地球外天体における元素の分布が具体的に理解されるよう になってきたことに加えて、宇宙への往還技術が進歩してきた ため、私たちは地球外物質を資源として利用する日が近づい ていると考えている。宇宙空間における人間の活動を支えるた めには、さまざまな物資が必要となるが、その代表例である水 (氷)は火星表面や彗星に大量に存在することが知られている。他にもさまざまな揮発性成分がこうした天体に存在すること から、これらを地球から運び込むのではなく、現地で調達して 安上がりに利用する日が来るかもしれない。また一部の小惑星 には鉄・ニッケル合金や白金族が濃集していると考えられてお り、小さな小惑星や彗星の脱出速度が非常に小さいことを併 せて考えると、こうした金属を採取し、宇宙基地または地球ま で輸送することに、現実的なメリットが存在する可能性がある。 こうした「宇宙資源」の観点から地球外天体に関する研究を推 進するために、私たちは小惑星探査計画や月探査計画、火星 探査計画など様々な太陽系探査計画に参加するとともに、地 中レーダーを応用した新しい固体天体の探査手法の開発や、 各国の探査機がもたらした惑星・衛星・小惑星のデータを地 質学的・地球惑星物理学的に解析している。

CEE Newsletter No.9(2011.3) 掲載内容