東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

岡部研究室

岡部徹教授
生産技術研究所サステイナブル材料国際センター

資源関連の研究

岡部研究室ではチタン、スカンジウムなどのレアメタル素材の 新しい製造プロセスの開発や白金族金属(PGM)、希土類金属 (レアアース)、ニオブ、タンタル、ガリウムなどのレアメタルの新 規リサイクル技術、環境技術の研究に取り組んでいる。

(1)白金族金属の環境調和型リサイクルプロセスの開発

自動車排ガス浄化用触媒や高性能電子機器材料には、白 金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムなどの白金 族金属が不可欠であるが、これらのレアメタルの資源量は極 めて少なく高価である。したがって、今でもリサイクルされ再利 用されているが、現行のリサイクル法は、エネルギーを多量に 消費し、環境負荷の大きな廃液が発生するなど問題点も多い。 このため、塩酸や塩水などの環境負荷の小さい溶液に白金族 金属を効率良く溶解させ、効率良く回収する環境調和型のリ サイクルプロセスの開発を行っている。

(2)希土類磁石からのレアアースのリサイクルプロセスの開発

ネオジム磁石は、その優れた磁気特性から、ハイブリッド自動 車などの様々なハイテク・エコ製品に使用され、その需要は飛 躍的に増大している。中国によるレアアースの輸出規制強化を発端に、ジスプロシウムを中心にレアアースの価格高騰が深刻 な問題となっており、安定供給に対する不安が高まっている。 岡部研では、磁石スクラップからネオジム及びジスプロシウムを 効率良く抽出する乾式リサイクルプロセスを中心にレアアースの 新しいリサイクルプロセスの開発を行っている。

(3)その他

図1 図2 岡部研では「レアメタル研究会」を主催、運営し、レアメタル に関する産学連携にも積極的に取り組んでいる。また、米国 版レアメタル研究会として開催している“Reactive Metal Workshop”では、レアメタルに関するグローバルな研究交流 の拠点となっている(図1)。他にも、一般社会に向けたレアメ タルの啓蒙活動の一環として、岡部研では多くの見学者を受 け入れて見学会を随時開いている。岡部研には常時、様々な レアメタルが展示されている(図2)。

CEE Newsletter No.9(2011.3) 掲載内容