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セミナー・講演会 Seminar and lecture第27回 CEEシンポジウム with NEDO (2017年5月23日開催)これからの電力市場の論点− IEA Re-powering marketsに見る −
多くの方にご参加頂き、無事終了いたしました。
趣旨:
東日本大震災と原子力事故の後、2014年4月にエネルギー基本計画、2015年7月に長期エネルギー需給見通しがそれぞれ策定され、我が国のエネルギーの議論は新たな段階に入った。また、2015年12月のCOP21で採択されたパリ協定が2016年11月に発効し、我が国を含む世界各国はエネルギーを含む温暖化対策に関するそれぞれの取り組みを加速させている。
あらゆる社会経済活動を支えるインフラであるエネルギー需給には、持続可能性として、今日、10年後、100年後など、あらゆる時点で、経済性、環境性、供給安定性・安全性(3E+S)を確保できる、実行可能な姿を実現することが必要である。
持続可能なエネルギー需給の実現に向けて、電力は一次エネルギー供給、省エネルギー、エネルギー利用の利便性などの多くの面において、今後より重要な役割を果たす。しかし、我が国のFIT制度の下での太陽光発電の大量導入など、再生可能エネルギー発電の導入が進むにつれて、特に電力需要の成長が期待されていない先進国においては、電力の需給運用は徐々に難しくなることが世界的な課題として認識されている1。 CEEでは2008年の設置以来、継続的に我が国のエネルギーを考えるシンポジウムを実施してきた2。2012年の第12回では「日本のエネルギー戦略を考える」を議論し「提言」の発表をした3。その後、2015年には、第20回「再生可能エネルギー時代の電力システムと火力発電を考える」、第21回「再生可能エネルギー時代の電力需給の新たな調整資源を考える」、第22回「電力システム運用高度化に向けた再生可能エネルギー発電出力予測技術を考える」を開催した。また、2016年には、第23回「これからの電力需給の解析・評価を考える」、第24回「温暖化対策に貢献する火力発電について考える」、第25回「電力需給解析と Integration Study」、第26回「エネルギー需要を科学する」と、将来の電力/エネルギーを見通し、既存および革新的技術の最大活用による新たな電力システム、ひいては新たなエネルギーシステムの可能性を議論してきた。
世界各国における電力/エネルギー部門では、1990年代より様々な地域で自由化、市場化が実施されており、低炭素化などに必要な運用、設備投資などはかつての規制の枠組みではなく、市場運営の中で行われる割合が高くなっている。
この電力/エネルギー部門の市場化の大きな流れの中では、将来の電力/エネルギー分野における最適運用と設備形成を実現するための制度の再設計が近年大きく注目されている。すなわち、現在の市場制度を含む電力システムに関する諸制度は、その骨格が欧米の電力市場創設時の集中型の火力発電が主たる供給力である状況で設計された。これに対し、電力需給の低炭素化を目指し、我が国をはじめとして世界各国で、出力が変動し、分散型の再生可能エネルギー発電の大規模導入の下でのシステム運用や、これらから発生する電力システムの需給運用調整の課題の解決のために今後導入が期待されている無数の分散型需要側設備の活用の進展とともに、世界の電力市場で様々な課題が発生し、それに対する市場機能の改善、あるいはその再設計が議論されている。今回NEDO−東京電力−東京大学チームが翻訳した“IEA Re-powering Markets”はその最新状況をまとめたものである。 本シンポジウムでは、このような背景の下、電力システム・エネルギーシステムを安定かつ効率的に運用し持続可能な形で設備を形成するための経済シグナルを与える電力市場に関し、“IEA Re-powering Markets”で述べられている各国の電力市場の現状、課題とその解決を背景に議論する。
本シンポジウムに参加される方、および本シンポジウムに関心のある方は、IEA Re-powering Marketsの原典あるいは翻訳を一読いただきたい。 プログラム
※ 翻訳者の所属は、翻訳の「翻訳にあたって」を参照。
NEDOはいずれも技術戦略研究センター エネルギーシステム・水素ユニット研究員 |
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