東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

国際植物資源科学研究室

小林 和彦 教授
農学生命科学研究科 農業国際専攻

バイオマス研究

  • 地球環境変化、特に大気環境の変化がアジアの農業生態系に及ぼす影響
  • アジアにおける農業生産の発展が環境に及ぼす影響
  • 生物地球化学と植物生理学を統合した農業生態系シミュレーションモデルの開発

生態系から炭素を収穫する点では、農業もバイオマスエネルギーも同じです。従って、持続的農業生産と同じ注意が、持続的バイオエネルギー生 産にも必要になります。具体的には、持続的炭素固定には土壌生態系の維持が必要であり、そのためには土壌有機物と土壌水分の適切な管理が不 可欠である。仮に、バイオエネルギー生産によって、土壌有機物量が減ったとすると、土壌炭素が大気中に放出されたことになり、カーボンニュートラル でなくなります。逆に、バイオマスエネルギー生産と同時に、土壌有機物を増やせる可能性もあり、そうするとカーボンシンクとしての働きも期待できます。 こうした事象は、生物地球化学モデルを用いたシミュレーションによって、ある程度予測できるので、今後そうした方面にも研究を展開させたいと思って います。
CEE Newsletter No.2(2008.10) 掲載内容