東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

田島研究室

田島道夫教授
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 宇宙探査工学研究系

太陽光発電の研究

太陽電池の評価に関する研究


田島研究室では、「フォトルミネッセンス(Photoluminescence)」 という物理現象を利用して、太陽電池や電子素子部品の主要材 料である半導体結晶を評価している。

太陽電池用基板の主流である多結晶シリコン基板の品質評価 法について、新たな評価法「弗酸水溶液浸フォトルミネッセンス (PL)イメージング法」を開発した。従来一般に用いられているマ イクロ波光導電減衰法では、基板1枚あたり品質確認に20分程 度の時間を要していたが、新評価法ではわずか1秒以下に大幅 に短縮でき、さらに分解能も10倍以上向上した。本手法の原理 は、基板に光を当てたときの蛍光(PL)の強さで品質を判定するも のであるが、シリコン素子製造プロセスで用いられる弗酸が非常 に良好な表面状態を作り出すことを利用し、弗酸に浸けたまま測 定を行うことで、飛躍的な高速・精密診断を実現している。なおPL イメージング技術は、宇宙用のInGaP/GaAs/Ge 3接合太陽電池 やCIGS太陽電池にも拡張され、多層セルの各層選択評価にも成 功している。
図(a)、(b)
CEE Newsletter No.3(2009.1) 掲載内容