東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

堀江研究室

堀江英明准教授
工学系研究科 システム創成学専攻(人工物研究センター)

二次電池・キャパシタの開発

先進型二次電池による未来エネルギーシステムデザイン

かつて先進国で消費してきたエネルギーを、今後数十年の裡に その十倍近い地球上の人々に、いかにして平等に利用可能となさ しめ得るか、しかし地球温暖化に象徴されるようにそこには様々な 厳しい制限が課せられている。例えばガソリン自動車は社会の中で 総エネルギーの約2〜3割近くを消費しているが、より効率の高い電 気自動車への転換を図る際の最大かつほとんどの課題は、今や高 性能二次電池に集中していると考えられる。電気自動車あるいは ハイブリッド電気自動車用高性能電池は、その普及実現を想定す るなら、従来の電池に比して、(出力)性能は数十倍、寿命は一桁 高く、電池搭載量の多さを勘案するなら信頼性は数桁高く、しかし ながらコストは従来に比しても十分低く抑える必要があるであろう。 言い換えるならもし環境車両用電池の大量普及が真に実現をした とするなら、これら高性能二次電池はあらゆる産業に用いることが でき、社会・都市の中に無数に散り嵌められ拡散してゆくに違いな い。変化の契機が困難とも思える複雑化した現代社会で、このよう に環境車両用高性能二次電池が先導をしつつ、次世代のエネル ギー変革を特徴づけてゆくシナリオも描けるのではないだろうか。

高度に集積化された情報と限りないパワーを一体化した『高性能 二次電池を基軸とする自律分散統合型エネルギーシステム』の概念 を創出し、社会システムを活用した実効性ある導入手法のデザイン と共に、この分野で強力に世界を主導してゆきたいと考えている。
  • ● 都市/ビル/家庭/EV(電気自動車)での電池システムを軸とした統合化の研究
  • ● 環境志向の高い都市/地域に対するEV導入社会システムのアセスメント/導入手法研究
  • ● 電池分離型社会材/金融商品化の研究
  • ● 電池ネットワーク化技術の研究
    (工学系研究科 システム創成学専攻 宮田秀明教授と共同で研究中)
図1
CEE Newsletter No.4(2009.4) 掲載内容