東京大学における研究紹介 CEE季刊誌 Newsletter 掲載内容より

渡邉研究室

渡邉聡教授、多田朋史助教
工学系研究科 マテリアル工学専攻

燃料電池の開発

固体酸化物形燃料電池の開発


燃料電池の電解質材料として固体酸化物を用いる固体酸化物 形燃料電池(SOFC)は、その発電効率の高さから次世代のエネ ルギー供給源として大変期待されているシステムの一つである。 SOFCの発電過程には気体吸着・イオン移動・電気化学反応等 様々な素過程が密接に絡んでおり、個々の素過程の舞台はバルク 内・電極/固体電解質二相界面・電極/気体/固体電解質三相 界面と様々である。渡邉研究室では、第一原理計算を用いた手 法により個々の素過程における活性障壁高さを求め、バルク内・ 二相/三相界面といった場が素過程に与える影響を明らかにし、 SOFCの発電効率をより高めるための界面設計に取り組んでいる。
具体的な計算対象としてNi電極・安定化ジルコニア固体電解 質(酸素イオン伝導体)・水素燃料を考え、酸素イオン移動障壁 高さが界面の種類によって大きく異なり、化学結合(イオン結合・ 共有結合)の観点から障壁高さの違いを理解すべく取り組んでい る。また、三相界面に内在する場としての化学的性質と、そこで 行われうる素過程との相関についても検討を行っている。
図1
CEE Newsletter No.4(2009.4) 掲載内容